ソランが旅立って、何を思ったのか・・・何をしたのか・・・

今、思い返しても思い出せません。

ただ、まだソランがそばにいる、触れるということで、心は保たれていたと思います。

ソランは穏やかな寝顔でそばにいました。





泣いてばかりではいられません。

私がソランのために出来る最後のことを、悔いのないようにしたいと思いました。

それは、もうひとつの旅立ちのための準備でした。







我が家では、親戚のどなたが亡くなられた時でも、その方の年の数だけ折り鶴を折り、

棺にお入れしてお別れをしています。

人と同じように、歴代わんこたちにも折って入れました。

わんこ達は年の数だけでは淋しいので、数は決めずに折りました。





折り紙なんて何年ぶりだろうといいながら、みのりたちが不器用ながらも、たくさん折ってくれました。

20代になった甥、姪も、ソランに会いに来てくれて、鶴を折ってくれました。

ソラン、とても嬉しかったと思います。。。





私が折った鶴はたった5羽でした。

折り鶴は、家族に任せ、私なりのソランのための準備をはじめました。





ソランらしく

ソランズらしく






水色のギンガムチェックの生地で、枕と、身体にかけるケープを作りました。

肌さわりがいいように、やわらかなタオル地を内側に縫いつけました。

木綿のレースを首まわりに縫い付けて、大きめの水色のリボンをつけました。






そしてソランのために、最近作っていなかったおやつを作りました。







ちょっと焦げてしまいましたが、卵ボーロ。









そして、ミルクゼリー。





どちらもソランが大好きなおやつです。









ま〜だ?






まだなの?







2歳

11歳

15歳









ソランは私が作るどんなへんてこなお菓子でも喜んで食べてくれました。







「何それ?」





「何が出来るの?」






ペロン!
「大好きなリンゴのお菓子だ♪」




待ち遠しそうに見ていてくれているのが、とっても嬉しかったです。









おやつだけで満足するお腹の持ち主ではありません。

ソランが2度目の旅立ちをする場所の従業員さんとお話した際に、

「お弁当を持たせる方もいらしゃいますよ。から揚げとか、おにぎりとか。」とお聞きしたので、

ソランにもお弁当を作りました。







いつも食べていた手作りごはん、ドッグフード、焼いた牛肉、茹でたささみ、

バナナとリンゴと、こちらにもミルクゼリー。

これなら食いしん坊のソランでも、満足してくれる量だと思ったのですが・・・

この写真を見ると足りなかったかな・・・と心配になっています。






妹とは、歴代わんこたちへのお土産を用意しました。

それぞれの子に思いを込めたものを用意しました。

「新入りソランのことをよろしくね」とメッセージをそえました。







歴代わんこたちも食いしん坊揃いだったので、ソランの株も上がったことと思います。。。







棺に入れる、洋服、おもちゃを選びました。

一番のお気に入りの洋服は、どうしても手放せず、持たせてあげられませんでした。

ごめんね、ソラン。





手紙を書いて、ふたりで一緒に撮った写真や家族の写真と束ねました。





最後に、無事に空の町に着けるように、お守りを作りました。

このお守りは、最後にソランの両手にはさんで持たせました。












こうして綴っていると、淡々と準備をしていたかのようですが・・・

やはりそれは無理でした。

特にソランと私だけのふたりの時間は、寂しさが全身を覆い、重苦しさで気分が悪くなりました。





ソランを見ていると、いろんな後悔がこみ上げてきます。

「ソラン、ごめんね・・・ごめんね・・・。」

謝罪の言葉しかでてきませんでした。





姉や妹に、「私がいけなかったんだ・・・」と何度も話していました。

「それは違うよ。」と、私の後悔を消してほしかったのかもしれません。





ですが、ずっとぐずぐずしている私に、

「ようちゃんは、自分のせいにしようとしてる。ソランは泣いてないよ!」

と妹に言われ、

「もういい加減自分を責めるのはやめなよ!ソランはそんなこと望んでいない。

ソランは頑張った。よく頑張ったねって言ってあげればいいじゃない!

ようこがぐじぐじ言ってたら、ソランが可哀相じゃない!」」と、姉に叱られてしまいました。





姉と妹の言葉で気づきました。

心が沈んでしまう話など、ソランは聞きたくない。

今、ソランに触れながら話す言葉は、

「よく頑張ったね。。。」

「ありがとう。。。」

だったと。





あの時の姉と妹の叱咤には、今もとても感謝しています。






この日の夜、

ソランの顔が、今までと違ってみえていました。

すごく満足そうな顔に見えたのです。

「頑張って犬生を全うしたんだね。。。」と思えました。

少し、気持ちが楽になった気がしました。











ソランが旅立ってから、私は今の仕事はもうできないと思いました。

犬が大好きです。

でも、できないと思いました。

ソランズは、ソランと一緒だからこそ、ここまで続けてこれたのです。

ソランがいなくては、できないと思いました。





ですが、

ソランが満足そうな顔に見えた日の翌日の朝。

ソランを見ていて、ふと思ったことがありました。





今の、この気持ちを持った、今の私にだからできることがある。

これからもソランと一緒に。





ソラン、ありがとう。。。





ソランとひとつの約束をし、指切りをしました。





この約束を守るためにも、動かなくてはいけない。

頑張らなくてはいけないのです。