RoomNumber 705  Lick





リック君はこの春生まれたばかりです。

見るもの、聞くものすべてが新鮮でたまらない様子です。

だから、お散歩に行くたびにいろんなものを見つけては、宝箱に大事にしまっているんです。

ねぇ、宝箱見せてもらってもいいかな?って尋ねたら、リック君は「いいよ!」と言って、得意げに見せてくれました。

「この貝殻は、夏にパパとママと海に行ったとき見つけたの。

なかなかきれいな形が見つからなくて、一生懸命探したの。

そしたらね、2つも見つかったんだよ。ほうら、白くてきれいでしょう?

この木の実はね、この前お姉ちゃんが遊びにきてくれたとき、初めて行った公園の森の中で拾ったの。

お姉ちゃんも一緒に探してくれたから、いっぱい集まったんだよ。」

目をきらきら輝かせて、リック君はお話してくれます。





「でもね、まだまだこの箱の中に入れたいものがあるの。」

それはなぁに?と尋ねたら、リック君はこう言いました。

「それはね、もっともっと寒くなったら、空から降ってくるんだって。白くてほわほわしてて冷たいものなんだって。

ママがね、一緒に見ようねって言ったの。雪って名前らしいんだけど、それを宝箱に入れたいの。

だから、僕、いつ雪が降ってくるのかをこうやって見ているの。」





やっと分かりました。リック君がいっつも窓辺でお外を見ているわけ。

リック君は雪を待っていたんです。

リック君、早く雪が見れるといいね。

そしてリック君の宝物はたくさんの思い出と一緒にどんどん増えてゆくのでしょうね。







Photo&Story By ASAKO